【特集】 南川小水力発電

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全国的にも珍しい、砂防ダムを活用した「南川サイフォン式小水力発電事業」が令和3年夏に本格スタートする。

日本の暮らしって地球何個分?

いきなりですが、福井県は家庭の消費電力量が全国で最も多い県(2位は富山、3位は石川、北陸3県がトップ3)というのは知っていますか?そして、日本は世界で第4位のエネルギー消費国(1人あたりの消費量も世界第4位)でありながら、エネルギー自給率はたったの10%! その多くを輸入に頼っています。

世界規模で人口が増え、年々エネルギー消費量も増え続けている中、世界中の人が日本人と同じ生活をした時に必要な自然資源はなんと地球2.8個分にもなるんです!限りある化石燃料の消費や温室効果ガスの排出を減らすことは地球規模で取り組むべき課題となっています。

持続可能でより良い世界を目指して各国で取り組まれている『SDGs(エスディージーズ)』でも「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」という目標があります。

そんな中、化石燃料に頼らず、地球への負荷を減らすために、温室効果ガスを排出しない再生可能エネルギーが重要なエネルギー源として着目されています。

今だからこそ注目される水力発電

自然環境を生かした「クリーンなエネルギー」である再生可能エネルギーには太陽光や風力、地熱、水力、バイオマスなどがありますが、その多くが天候や季節に発電量が左右されてしまいます。そこで、水資源に恵まれた日本の貴重なエネルギー源として改めて注目されているのが水力発電です。水力発電には次のようなメリットがあります。

・自然条件によらず一定量の電力を安定的に供給できる

・設備規模がそれほど大きくなく経済性が高い

・一度発電所を作れば長期間にわたって発電できる

さらに、中小規模である中小水力発電は、河川の流水や農業用水、上下水道を利用したりと、生活に身近な水資源を活かせる発電方式として、今後の更なる開発が期待されているんです。

なんと、そんな小水力発電所が納田終(のたおい)地区で令和3年夏以降に運転開始する予定なんです!そこでは、砂防ダムを活用したサイフォン式小水力発電という全国的にも珍しい方法が取り入れられます。

南川の資源を活かした地域活性化に向けて

南川上流部に平成初期に建設された砂防ダム。
この南川砂防ダムが県内でも有数の小水力発電所建設に向いている場所であることが、平成22年度に行われた県の調査で分かりました。そこで、地元の「森林楽校・森んこ」などの団体が中心となり、更なる調査や発電方法の実験、地域でお金が循環する市民ファンドなど資金調達の仕組みづくりなどを進めてきました。

発電設備は川の生態環境にも優しく、狭い谷筋やダム自体にできる限り手を加えないように建設される予定です。また、発電所で生み出される電力は約120軒分の生活がまかなえる電力量となるようです。吉川代表は、「売電収入の一部を地域に還元し、川の浄化や森林整備などによる環境の保全・改善につなげたい。川に親しむイベント開催などによる南川の環境を活かした環境教育や地域に根差した地域活性化にも取り組んでいきたい」と意欲的。

川からつながる地球にやさしい暮らし

みなさんは、南川で遊んだことはありますか?「長く地域と付き合っていける小水力発電を通じて、未来の子どもたちにもいい南川を残していきたい。発電所の周りは地域のために豊富な水資源を活かした公園のような場所になれば。」と話す吉田さん。

今後はイベントなどを通じて南川に触れたり、川から沢山のことを学んだりする機会が増えそうです。将来的には川の環境改善によって、日常的に鮎釣りや川遊びがもっと身近になったら、川に親しむ人も増え、南川ならではの川を楽しむ暮らしが広がりそうですね。

地域でクリーンなエネルギーが安定的に生み出されることで、暮らしの安心感も高まる。また、川を大切にすることは川に流れてくる水を抱えている森を大切にすることにも、川が流れていく先の海も大切にすることにもつながる。そんな地球に優しい地域の暮らしに小水力発電が寄り添っていくことを期待したい。

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