近年、日本海側の河川で遡上アユが減少しています。南川も例外ではなく、遊漁によるアユの漁獲が減っています。 「釣り人が選ぶ 天然アユがのぼる100名川」に選ばれた姿は過去のものになっているかもしれません。
南川に生息する天然アユを増やすことができれば、遊漁者の南川に対するイメージアップに繋がります。そして、県内外から遊漁者を南川に呼び寄せることで、さらに地域を活性化させることが期待できます。現状の南川に遡上する天然アユの数を知り、また、増やすためにはその元となる卵の数を知ることが重要です。
そこで、私は南川に生息するアユが「いつ、どのような環境でどのくらい産卵」しているのかを湯岡橋から相生橋の区域で調査し、卒業論文にまとめました。
アユは川底に体当たりをして石に卵を産み付けます(写真1)。
そのため、川底の石を拾い上げて卵の有無を調べることで、産卵数、産卵時期、産卵環境を知ることができます。調査の結果、アユが最も盛んに産卵するのは10月中旬~下旬であることが分かりました。
そして、産卵する場所は産卵しない場所と比べ、石が小さく、川底が柔らかい環境だと分かりました。アユは卵を産み付けにくい場所を避けているのです。産卵に適した環境を造ることや詳細な禁漁区・期間を決めることでアユの遡上量を増やせる可能性があります。
実は、南川にはアユの遡上量を増やすための人工産卵場が尾崎に造られており、実際にアユの卵も確認されました。しかし、数日間降雨が無かっただけで人工産卵場は渇水してしまい、アユの卵が死んでしまう可能性があることが今回の調査で分かりました(写真2、3)。
そのため、私の卒業論文の結果を踏まえて、より良い人工産卵場に造り変える必要があると感じました(図)。
南川にはアユだけでなく多くの生き物が生息していて、調査が凄く楽しかったです。特にサケの産卵時期には多くのサケが南川に遡上しており、生きたサケを間近で見られたことは非常に貴重な体験だったと思います。
私の地元の川と南川とを比較すると、南川は澄んでいて綺麗だと感じました。私は小さい時、川に生き物捕りに行こうと思うと車で約1時間はかけていたと思います。そのため、綺麗な川が身近にあるのが羨ましいと同時に、保全していく必要性を強く感じました。
(著者プロフィール)
私は三重県四日市市の出身です。主な趣味はプロ野球を始めとしたスポーツ全般の観戦やカラオケに行くことです。
また、小さい頃から川で生き物採集をしたり、水族館に行ったりするのが好きでした。そのため、実際に川に入り生き物を身近に感じて調査する、この研究テーマを選びました。